WSJT-X Improved 3.2リリース、そして「JP1LRT Edition」が目指すもの ― 2026年08月18日 16時35分52秒
📡 WSJT-X Improved 3.2リリースと、開発中のJP1LRT Editionについて
本日、WSJT-X Improved 3.2がリリースされました。
今回の3.2シリーズでは、EME関連の大幅な機能強化をはじめ、さまざまな改善や修正が盛り込まれています。
https://sourceforge.net/projects/wsjt-x-improved/files/WSJT-X_v3.2.0/
開発中の「JP1LRT Edition」
一方、私が開発を進めている非公式の独立改造版「WSJT-X Improved JP1LRT Edition」は、現時点では3.1.0(260522版)を土台にしています。
まだ3.2をベースにした版ではありませんが、Improved 3.1/3.2にはない独自機能を多数追加しています。
「JTDXのような実戦的な運用感覚を、WSJT-Xでも楽しめること」
これがJP1LRT Editionの目指している方向です。単に機能を追加するだけでなく、実際のFT8/FT4運用でバンドの状況を把握しやすくし、CQ RUNを安全かつ効率的に継続できることを重視しています。
JTDXスタイルのBand Activity表示
Band Activityの情報量を大幅に増やしました。
CQを出している局や73を送ってきた局だけでなく、他局同士がQSOしている途中のデコードからも、次の情報を一目で確認できます。
- 交信済み(B4)かNewか
- LoTWユーザーか
- 国・DXCCエンティティ情報
- Wanted局などの局属性
JTDXを使い慣れた方なら、現在のバンド状況や呼ぶべき局を格段に把握しやすくなったと感じてもらえると思います。
JTDX由来のWide Graph描写
Wide GraphにはJTDX由来の中央値ノイズ正規化を取り入れ、コントラストの効いた見やすいウォーターフォールへ変更しています。信号とノイズの差が見やすく、混雑したバンドでも状況を直感的に把握できます。🌈
GainとZeroには現在値を示す数値ツールチップも追加しました。スライダーを動かした際の値が分かるため、好みの設定を正確に再現できます。
AutoSeq 2/3による継続CQ RUN
JP1LRT Edition最大の特徴が、AutoSeq 2/AutoSeq 3によるJTDXライクなCQ RUNです。
通常のWSJT-X/Improvedでは、QSOが終わるたびに送信許可を出し直す必要があります。JP1LRT Editionでは、一度CQ RUNを開始すれば、そのまま次のQSOへ継続できます。
複数局から同時に呼ばれた場合も、単に最初にデコードした局や最も遠い局を選ぶだけではありません。例えば次のような運用上の価値を考慮し、優先順位に基づいて応答相手を選択します。🎯
- Wanted局
- 新DXCC
- 新グリッド
- 新局・バンド/モードでの新局
- LoTW利用状況
- 交信済みかどうか
Wanted/Hunting機能
呼びたいコールサイン、プリフィックス、グリッドをWantedとして登録し、CQ RUNで優先させることができます。
さらに、Wanted局がバンドに現れるまで待機し、その局自身が送信したときに自動的に呼びに行くHunting機能も搭載しています。
通常の優先選局と、特定局を待ち受けて呼びに行く動作を使い分けられるようにしています。
自動化だけでなく、安全性も重視
自動選局を増やすだけでは、実運用で安心して使用できません。そこでJP1LRT Editionでは、運用者の意思や進行中のQSOを守るための安全制御も作り込んでいます。🛡️
- 手動で選んだ相手を自動選局が奪わない所有権保護
- QSO中に別局を選んだ場合の安全な保留と引き継ぎ
- 自動選局したQSOが進まない場合の安全な打ち切りとCQ復帰
- CQ DXや地域指定CQで、条件に合わない局を誤って自動選局しない保護
- 第三者のRR73/RRR/73を新しいQSOの状態へ誤流用しない保護
QSO終端を守るTerminal Hold
最初のRR73が相手に届かなかった可能性がある場合、相手はRレポートを再送してくることがあります。
Terminal Holdは、最初のRR73を送った後も現在の相手局と終端状態を保持し、同じ相手からRレポートが再送された場合には再びRR73で応答します。
RR73、RRR、73の処理中は、別の局や自動選局にQSOを横取りさせません。交信の終端を安全に処理してから、CQ、次の候補局、またはHunting待機へ復帰します。
そのほかの主な追加機能
- Avg/Lagによる受信タイミング情報の表示
- 対象局へのRx DF追従とCQ復帰時の同期
- Max Dist/Max dB/Min dB選局と進行中QSO保護の統合
- CQ DXおよび大陸指定CQの自動選局安全ゲート
- 8桁・10桁を含む拡張Maidenheadグリッドロケーター入力
- 約25万件規模のALLCALL7データ対応
- ADIFログのQSO取り違えや古いDX Call/Grid残留を防ぐ保護
- 必要なときだけ有効にできる詳細診断ログ
- 日本語UIとツールチップの説明改善
現在は限定テストの最終段階
Standard版とAL版は、現在、一般公開の一歩手前まで進んでいます。まずは限定テスターの皆さんに実際の無線環境で運用していただき、これまでの管理された試験だけでは確認できない多様な環境での状況を確認します。
公開日はまだ確定していませんが、フィールドでの確認を重ねたうえで、近日中のリリースを目指しています。
「JTDXのような情報量とCQ RUNを、WSJT-Xでも使いたい」📻✨
そんな方には、きっと楽しんでいただけると思います。
JP1LRT Editionは、WSJT-XおよびWSJT-X Improvedを基礎にした非公式の独立改造版です。現在の候補版はWSJT-X Improved 3.1.0(260522版)をベースとしており、今回リリースされた3.2.0をベースにしたものではありません。
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