WSJT-X Improved JP1LRT版のベースを260522 GAへ更新しました2026年08月10日 23時26分01秒

これまで開発を続けてきたWSJT-X Improved JP1LRT版は、WSJT-X Improved 3.1.0の260228版をベースとしていました。 そこへAutoSeq 2/3、Terminal Hold、RR73/73終了処理、地域指定CQ、Ave/Lag/Sync、デコード表示の拡張、10桁グリッドロケーター対応などを、実際のFT8運用で確認しながら少しずつ追加してきました。 機能そのものはかなり安定し、通常のQSOでも大きな問題は報告されていません。 一方、本家WSJT-X Improvedの開発も進み、2026年5月22日には260522 GA版が公開されました。 今回、JP1LRT版のベースを、この260522 GA版へ移行しました。

単純な差し替えではありません

今回行ったのは、古いソースを新しいソースへ単純に置き換える作業ではありません。 JP1LRT版では、QSOシーケンスの制御や画面表示を含め、すでに多数の変更を加えています。そのため、260522版をそのまま上書きすれば、これまで作ってきた機能の一部が失われたり、新旧の処理が衝突したりする可能性があります。 そこで、従来のJP1LRT版と公式260522版のソースを比較し、双方の変更内容を確認しながら統合しました。 特に注意したのは、次のようなJP1LRT独自機能をそのまま維持することです。
  • AutoSeq 2/3による候補局の自動選択
  • Terminal HoldとRR73/73終了処理
  • 保留候補局への直接ハンドオフ
  • QSO終了後のCQ自動復帰
  • 進行中QSOと手動操作の保護
  • CQ AF/AN/AS/EU/NA/OC/SAへの対応
  • 4/6/8/10桁グリッドロケーター対応
  • LoTW、B4、Worked、Wanted、国/DXCC、米国州などの拡張表示
  • Ave/Lag/Sync機能
  • Standard版とAL版、それぞれの画面構成
今回のリリースでは、これら既存のQSO動作を意図的には変更していません。 利用者から見れば、従来版と基本的に同じようにQSOできることが重要です。しかし内部では、プログラムの土台を新しい260522版へ入れ替えるという、比較的大きな作業を行っています。

Wide Graphにデコード済みコールサインを表示

260522版で追加された、目に見える大きな機能の一つが、Wide Graph上へのデコード済みコールサイン表示です。 Wide Graph右下の「Show Callsigns」を有効にすると、デコードした局のコールサインが、その局の信号周波数に対応する位置へ表示されます。 Even/Odd、CQ、RR73、現在のDX Callなども色分けされます。 VHF/UHF/SHFでは、どの信号がどの局なのかを視覚的に把握しやすくなります。HFの混雑したバンドでは表示がかなり賑やかになるので、好みに応じてON/OFFを切り替えるのが良いと思います。

260522版由来の改善

今回のベース更新では、Wide Graphのコールサイン表示以外にも、260522版で行われた改善を取り込んでいます。
  • callsign_states.tsvを利用した米国州情報処理の効率化
  • 米国州に関するアラート機能
  • 受信メッセージごとにTx5マクロが上書きされる問題の修正
  • その他の安定性改善
米国州アラートに必要な「USState.wav」と「USStateOnBand.wav」も、Standard版とAL版の両方へ追加しました。

10桁グリッドロケーター対応も維持

前バージョンで追加した、設定画面から4/6/8/10桁のグリッドロケーターを入力できる機能も、そのまま維持しています。 例えば、自局ロケーターとして「PM95TQ47GC」を設定した場合、その完全な10桁情報をPSK Reporterへ送信できます。 一方、通常のFT8/FT4でオンエア送信されるCQメッセージは、従来どおり「CQ JP1LRT PM95」のように4桁のままです。 設定画面で保持する詳細な位置情報と、オンエアで使うプロトコル上のロケーター長は、別々に管理されています。 10桁のグリッドロケーターは、次のサイトで確認できます。 https://www.k7fry.com/grid/ PSK Reporter上で10桁を使用すると、自局の表示位置がより細かくなり、近隣局のマーカーと重なりにくくなります。8桁でも十分な効果があります。

Standard版とAL版の両方で確認

今回もStandard版とAL版を同時に作成しました。 両方ともWindows MinGW環境で最後までビルドが完走し、実際に起動して動作を確認しています。 Standard版では、Wide Graphのコールサイン表示、10桁ロケーターの保存、通常FT8での4桁送信、AutoSeq 2、Terminal Hold、次候補局への直接ハンドオフ、CQ復帰を確認しました。 AL版でも、AL固有の画面構成、WSPRボタン、10桁ロケーター、通常FT8での4桁送信、AutoSeq 2、Terminal Hold、直接ハンドオフ、CQ復帰を確認しています。 ソース、実行ファイル、パッケージ構成についても、Standard版とAL版の両方で独立レビューを行い、最終的にPASS判定となりました。

今回はプレリリースです

QSOシーケンスそのものには意図的な変更を加えていませんが、今回はプログラムのベースを260228系から260522 GAへ移行する大きな更新です。 そのため、まずは限定テスター向けのプレリリースとしました。 以前の正常に動作しているバージョンは削除せず、新しいフォルダーへ展開して試していただくことを推奨しています。 ユーザーガイドについては、今回追加された見た目の機能が260522純正版由来であり、JP1LRT独自の操作仕様には変更がないため、v1.3のままとしました。 テスターの皆さんには、通常のFT8/FT4運用、AutoSeq 2/3、Terminal Hold、地域指定CQ、手動操作、Wide Graph表示などを確認していただきます。 以前のバージョンと異なる挙動が見つかった場合は、発生時刻と、その前後を含むALL.TXTを送っていただけると、原因を追いやすくなります。 新しい土台へ移行できたことで、これから追加する機能についても、より新しいWSJT-X Improvedを基準に開発を続けられるようになりました。 さて、次は何をしようかな。(笑)