住宅用太陽光発電設備の「事前確認テンプレート集」を作成しました ― 防げる近隣トラブルを、契約前・施工前に防ぐために ―2026年07月04日 17時38分37秒

住宅用太陽光発電設備の「事前確認テンプレート集」を作成しました  
― 防げる近隣トラブルを、契約前・施工前に防ぐために ―

住宅用太陽光発電設備や蓄電池設備の普及が進んでいます。

私自身、太陽光発電そのものに反対しているわけではありません。再生可能エネルギーを適切に活用していくことには意義があると思っています。

しかし一方で、住宅用太陽光発電設備を構成するパワーコンディショナー、蓄電池、直流配線、交流配線などから発生する不要電波や高周波電流が、近隣の無線設備に影響を与える可能性があります。

アマチュア無線は、非常に微弱な電波を受信することが多い通信です。周辺機器から発生するわずかなノイズでも、ノイズフロアが上昇し、それまで受信できていた信号が受信できなくなることがあります。

これは単なる個人的な心配ではありません。

総務省は、令和6年5月14日付で、JEMA(日本電機工業会)およびJPEA(太陽光発電協会)に対し、「太陽光発電システムを原因とする無線通信への障害防止について(依頼)」という正式な依頼文書を出しています。

この文書では、太陽光発電システムによる無線障害、防災行政無線や消防・救急デジタル無線等への影響、電波法第101条・第82条第1項、CISPR 11第6.2版、遮蔽、ノイズフィルタ等の対策例が示されています。

ただ、問題が起きてからでは遅い場合があります。

パネルが設置され、PCSが稼働し、系統連系が始まってから受信障害が発覚すると、原因の切り分けも、対策も、関係者間の調整も一気に難しくなります。

施主さんも困ります。
施工会社さんも困ります。
ハウスメーカーさんも困ります。
近隣住民も困ります。

それならば、契約前・施工前・現地調査の段階で、できる確認はしておいた方がよいはずです。

そこで今回、同じような問題に直面しているアマチュア無線家の方が使えるように、「事前確認テンプレート集」を作成しました。

■ テンプレート集の構成

今回用意したのは、次の3種類です。

1. 大手ハウスメーカー・大手施工会社向け 完全版

大手企業の場合、品質管理部門、施工管理部門、コンプライアンス部門、設計部門などへ文書が回る可能性があります。

そのため、最初から法的根拠、公的資料、確認項目、添付資料欄まで含めた正式な文書にしています。

太陽光発電設備等の設置に反対するものではないこと、施主個人の個人情報や契約内容の開示を求めるものではないこと、確認したいのは機器仕様や基準適合、施工上の配慮であることを明記しています。

2. 地元工務店・中小施工会社向け 簡易版

一方、地元工務店や小規模な施工会社に対して、最初から法令や行政文書を強く出すと、クレームや法的な脅しのように受け取られる可能性があります。

そこで中小企業向けには、まず柔らかい相談文にしました。

「近くに住んでおり、アマチュア無線を趣味として楽しんでいる者です」
「工事の看板を拝見し、ご連絡させていただきました」
「太陽光発電に反対しているわけではありません」

という形で、まず話をつなぐことを重視しています。

3. 2枚目・詳細資料

中小企業向け簡易版に反応があった場合や、相手から詳しい説明を求められた場合に渡す補足資料です。

ここでは、CISPR 11第6.2版以降に整合したPCS、PCSのメーカー名・型式、配線の最短化、ループ面積の低減、金属管・金属ダクト等による遮蔽、ノイズフィルタ・フェライトコア、系統連系前後の受信状態確認など、具体的な確認項目を整理しています。

また、電波法第101条・第82条第1項、総務省の総基環第97号、JPEA販売規準、NEDOガイドライン、環境共生まちづくり協会の資料なども参考資料としてまとめています。

■ READMEも作成しました

テンプレートだけでは、どの場面でどれを使えばよいか迷うかもしれません。

そこで、READMEも作成しました。

READMEでは、

・相手が大手企業か中小企業かによる使い分け  
・工事看板を見つけた時の対応  
・最初に伝えるべきこと  
・一度に多くを求めないこと  
・「基準は満たしている」「前例がない」と言われた場合の返し方  
・「善処します」で終わらせず、誰が何をいつまでに確認するかを残すこと  
・施主さん個人を責めないこと  
・監視ではなく事前確認であること  
・不法電波と断定せず、不要電波、ノイズ、受信障害などの表現を使うこと  

などを整理しています。

■ 大切なのは「反対」ではなく「共存」

このテンプレート集の目的は、太陽光発電設備を止めることではありません。

近隣の工事を監視することでもありません。
施主さんを詮索することでもありません。

更地ができた。
工事看板が立った。
公開されている連絡先に、施工前に丁寧に確認する。

そのための文例です。

太陽光発電設備と近隣の電波環境は、適切な機器選定と施工、そして事前確認によって共存できると考えています。

問題は、その確認が施工前に行われないまま設置が進み、後からトラブルになることです。

防げる近隣トラブルを、契約前・施工前に防ぐ。

このテンプレート集が、同じ問題に直面している方の参考になれば幸いです。

テンプレート集はこちら


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