WSJT-X Improved改造版、CQ DXと大陸指定CQに対応 ― さらにJTDXライクになりました2026年08月07日 07時51分40秒

WSJT-X Improved改造版にCQ DX・大陸指定CQ対応を実装しました

WSJT-X Improvedをベースに、自分のFT8/FT4運用に合うよう少しずつ改造を続けています。

今回、新たに実装したのは、CQ DXと大陸指定CQに対する自動取得制御です。

以前からJTDXには、CQ DXで運用している場合、同じ大陸の局を自動的には相手にしない仕組みがありました。

例えば日本からCQ DXを送信しているとき、中国や韓国など同じアジアの局から応答があっても自動的には応答せず、ヨーロッパや北米など別大陸の局からの応答を対象にします。

また、受信したCQ DXを自動的に呼びに行く場合も、そのCQ局と自局が別大陸であることを確認します。これはDX運用では非常に合理的な動作です。

そこで、JTDXの実際のソースを調べ、その考え方や判定方法を参考にしながら、WSJT-X Improved改造版にも同等の機能を取り入れました。

JTDXのソースをそのまま移植したわけではありません

今回、JTDXのソースは重要な参考資料になりました。ただし、JTDXのコードをそのままWSJT-X Improvedへ移植したわけではありません。

JTDXとWSJT-X Improvedでは、QSO候補の管理構造、CQメッセージの解析方法、自動取得へ進む経路などが異なります。

JTDX側では、候補局の情報を保持する構造体に大陸情報を持たせる設計があります。一方、WSJT-X Improved側の候補構造体には大陸情報がありません。

そのためJP1LRT版では、新たな大陸フィールドを追加せず、判定が必要になった時点で既存の国・エンティティデータベースを参照し、コールサインから大陸を都度算出する方式にしました。

また、CQ DXであるかどうかを単純な部分文字列検索で判断すると、誤判定の可能性があります。

  • CQ DX
  • CQ 074
  • CQ JA
  • CQ USA
  • CQ ASIA
  • CQ POTA
  • CQ TEST

これらは、それぞれ意味が異なります。

そこで、メッセージ中にCQDXという文字が含まれているかを見るのではなく、WSJT-X Improvedに既に存在するDecodedTextの構造的なメッセージ解析を利用しました。

自局が送信しているCQについても、過去に設定されたCQ種別を保持する変数には頼らず、実際の現在のTx6メッセージをその都度解析します。

これにより、以前のCQ DX設定が内部に残っていた場合や、CQ 074 JP1LRT PM95のような数値を伴うCQを使用した場合でも、誤ってCQ DXとして扱うことを防いでいます。

CQ DXの判定

CQ DXでは、自局と相手局の大陸を比較します。

自局がCQ DXを送信している場合は、応答してきた局が自局とは別大陸であると確認できた場合だけ、自動的にQSO相手として取得します。

受信したCQ DXを自動的に呼びに行く場合も、自局とCQ局が別大陸であることを確認します。

  • 自局と相手局の大陸が分かり、異なる大陸なら自動取得を許可
  • 両方の大陸が分かり、同じ大陸なら自動取得をブロック
  • 自局の大陸が不明なら、安全側にブロック
  • 相手局の大陸が不明でも、安全側にブロック

JP1LRT版では、分からない場合は自動取得しない、という安全側の設計にしています。

CQ NA、CQ EUなどにも対応

CQ DXへの対応が完成したあと、次に取り組んだのが大陸指定CQです。

今回対応したのは、次の7種類です。

CQ 対象地域
CQ AFAfrica
CQ ANAntarctica
CQ ASAsia
CQ EUEurope
CQ NANorth America
CQ OCOceania
CQ SASouth America

例えば、自局がCQ EUを送信している場合、ヨーロッパの局からの応答だけを自動取得します。アジアや北米など、指定した大陸以外から応答があっても自動的には応答しません。

反対に、受信したCQ EUを自動的に呼びに行く場合は、自局がヨーロッパに存在すると判定できる場合だけ自動取得を許可します。

ここで重要なのは、CQ DXと大陸指定CQでは判定の意味が異なることです。

CQ DXは、自局と相手局が異なる大陸であることを求めます。一方、CQ EUなどの大陸指定CQは、応答する側が指定された地域に該当するかを判断します。

自局がCQ EUを出している場合に必要なのは、応答局がヨーロッパかどうかです。自局自身がどの大陸にいるかは、その判定には関係ありません。

逆に、受信したCQ EUを呼ぶ場合に必要なのは、自局がヨーロッパかどうかです。CQを出している局自身がどの大陸にいるかは、その判定には使用しません。

この違いも、単純な共通判定ではなく、CQの意味に合わせて別々に設計しています。

CQ JAなどは対象外

今回、大陸指定として認識するのは、先ほど挙げた7種類だけです。したがって、次のようなCQは今回の地域判定対象にはなりません。

  • 通常のCQ
  • CQ 074などの数値を伴うCQ
  • CQ JA
  • CQ VK
  • CQ USA
  • CQ ASIA
  • CQ POTA
  • CQ SOTA
  • CQ IOTA
  • CQ TEST

これらは従来どおりの動作を維持します。特にCQ ASCQ ASIAは文字としては似ていますが、完全一致で判定しているため混同しません。

ブロックされるのは自動取得だけ

この機能で制限されるのは、自動的なQSO相手の取得だけです。

同じ大陸の局や、指定地域に該当しない局であっても、デコード画面から消えることはありません。ALL.TXTへの通常の記録や画面上の表示、色分けなども従来どおりです。

オペレーターが意図的にダブルクリックすれば、手動でその局とQSOできます。

実際、15mでCQ DXを出して試験運用していたところ、ヨーロッパ各局とは自動的にQSOが進みました。一方、カザフスタンはアジアと判定されるため、自動的には応答しませんでした。

しかし画面には普通に表示されているので、こちらの判断で手動選択し、UN7GBXと問題なくQSOしました。QSO完了後は再びCQ DXへ戻っています。

自動処理は運用目的に従って動き、それでも最後の判断はオペレーターができる。個人的には、このバランスが非常に気に入っています。

ローカルシミュレーションでも確認

今回も、JTDXを相手局として起動し、ステレオミキサー経由で実際のFT8信号を受信させるローカルシミュレーションを行いました。

通常版とAL版の両方で、代表的な動作を確認しています。

  • 日本から受信したCQ EUを自動的に呼ばない
  • 日本から受信したCQ ASは自動的に呼ぶ
  • 自局がCQ EUを送信中、アジア局からの応答を自動取得しない
  • ヨーロッパ局からの応答は自動取得する
  • CQ JAは大陸指定CQとして扱わない
  • CQ DXの同一大陸ブロックが引き続き機能する
  • 手動ダブルクリックは制限しない

ブロックした理由は、ALL.TXTへDCQ1_BLOCKまたはRCQ1_BLOCKとして記録します。

単に「呼びに行かなかった」「応答しなかった」という結果だけでなく、どの自動取得経路で、どの大陸判定によってブロックしたかをあとから確認できます。

これまで取り組んできた改造

最初は、自分のFT8運用で感じた小さな不満を解消するところから始まりました。

しかし実際の運用で発生した問題を一つずつ調べ、修正と試験を繰り返しているうちに、かなり大規模な改造になってきました。

現在までに、主に次のような機能を追加・改良しています。

自動運用とQSO制御

  • AutoSeq 2/AutoSeq 3
  • 複数候補局の待機と引き継ぎ
  • 応答がない場合の自動フォールバック
  • RR73/73の再送と取りこぼし対策
  • Terminal HoldによるQSO終端処理
  • 手動操作と自動処理の競合防止
  • 進行中QSOの相手を別局で上書きしない保護
  • CQ DXの異大陸判定
  • CQ AF / AN / AS / EU / NA / OC / SAの地域判定

タイミングと周波数制御

  • 受信したデコード局のDT分布の中心を示すAvg表示
  • デコード完了までのタイミングを示すLag表示
  • Avgを利用した内部タイミングのSync補正
  • ターゲット選択時のRx DF追従
  • CQ復帰時にRx DFをTx DFへ戻す同期処理

内部SyncはWindowsのシステム時計そのものを変更する機能ではありません。正しい外部時刻同期を基本としながら、受信局のDT傾向をWSJT-X Improved内部の論理タイミングへ反映します。

表示と局情報

国/DXCCエンティティ情報などを表示する機能自体は、元のWSJT-X Improvedにもあります。

一方、従来版では、その局がLoTWを利用しているかどうかをデコード画面上で確認することはできませんでした。

JP1LRT版では、JTDXと同様に、LoTW利用局を専用のマーカーで表示する機能を追加しました。デコードされたコールサインを一つずつ別の画面やWebサイトで調べなくても、LoTW利用局かどうかをデコード画面上でひと目で判別できます。

LoTWでのコンファームを重視する運用では、どの局を呼ぶか、あるいはどの局からの応答を優先するかを判断するうえで、非常に便利な表示です。

さらに、CQ行中心だった国/DXCC、LoTW利用者マーカー、B4、グリッド、Worked属性などの表示を、非CQのデコード行にも拡張しました。

これにより、CQを出している局だけでなく、通常のレポート交換やQSO進行中のデコード行でも、その局に関する情報を画面上で確認しやすくなっています。

このほか、

  • Wanted/ハイライト表示の改善
  • 現在のターゲットを分かりやすくする細い強調表示
  • 括弧表示などデコード画面の細部修正
  • Wide Graphの表示レイアウトや表現をJTDXに近づける改良
  • Wide Graphで時刻表示の一部が欠ける問題の修正
  • 大型ALLCALL7データへの対応
  • 各自動処理を追跡するALL.TXT診断ログ

なども加えています。

こうして並べてみると、ずいぶん色々なところをいじりました。

かなりJTDXライクになってきた

私はJTDXのベータテスターでもあり、日常的にJTDXを使ってきました。JTDXには、DX運用や多数局を相手にする運用で便利な機能が数多くあります。

一方、WSJT-X Improvedにも独自の良さがあります。

そこで、JTDXを単純にコピーするのではなく、JTDXで便利だと感じた運用思想や動作を参考にしながら、WSJT-X Improvedの構造と、自分の実際の運用に合わせて作り直してきました。

現在の改造版は、見た目だけでなく、候補局の扱い、QSO終端、CQ復帰、タイミング表示、局情報表示など、使い勝手の面でもかなりJTDXライクになっています。

ただし、中身はJTDXのクローンではありません。

実際の運用で発生した問題を基に、手動操作を最優先しながら、自動処理が勝手なことをしないよう保護を重ねた、独自のWSJT-X Improved派生版になっています。

多くの方に使っていただく段階になれば、WSJT-X Improved JP1LRT Editionと名乗ってもよいところまで来たように思います(笑)。

v20260806A-RCQ1

今回のCQ DX・大陸指定CQ対応版は、限定テスター向けの検証版として用意しました。

通常GUI版とAL GUI版を別パッケージとして用意し、限定テスターとともに動作検証を続けています。現時点では一般公開していません。

現時点での対象モードはFT8とFT4です。MSK144は今回の対象には含めていません。

しばらく日常運用と限定テスターによる検証を続け、動作を見ていく予定です。

さて、次は何をしよう(笑)

ここまで来ると、次は何をしようか……(笑)。

一段落したら、より新しいWSJT-X 3.1 Improvedを土台にして、現在の機能を順番に移植する作業もやってみたいと思っています。

しかし、その前に、せっかく完成した現在の版を実際のバンドで使って楽しむことにします。

次に何を追加するかは、また実運用中に何か思いつくでしょう(笑)。

「50.303MHzが選べない人へ ― 周波数登録、たった4ステップです2026年07月27日 17時39分44秒

以前このブログで周波数の使い分けについて書きました。

周波数の使い分けについて

でも実際、多くの人が標準周波数(50.313MHz)から動こうとしません。

これ、単に周波数を事前にソフトウェアへ登録していないだけなんじゃないでしょうか。

50.303MHz(国内通信用サブ周波数、標準が混雑した時用)の登録方法を、簡単に説明します。

① メニューから「周波数」タブを選択

(JTDXでは「使用周波数」という表記です)

② その枠内を右クリック

③ ポップアップの中から「挿入」をクリック

→「周波数を追加」のコラムが表示されます。

④ そこに 50.303 と入力してOK

→ 周波数リストに追加完了です。

以降はWSJT-XでもJTDXでも、メインUIの周波数横にある「バンドの選択肢」から選べるようになります。

実は登録しなくてもQSYできる

バンド表示(例:6m)を消去して、50.303 と直接入力しEnterを押すだけで、その周波数にQSYできます。

ぜひ一度試してみてください。

杉並から18,669km ― PY5CC受信で実感したPSKRの価値2026年07月27日 14時00分13秒

昨日、仕事から帰ってきてPSKRを何気なく確認したら、驚くべき記録が残っていました。

ブラジルのPY5CC(GG54RE)を受信していたのです。

260726_224730    50.313 Rx FT8    -18 -0.1 2039 K8SIX PY5CC GG54

PY5CCとは過去にF2伝搬でQSOしたことがあります。ALL.TXTには、彼が北米局を呼んでいた電波が日本まで届いていた記録として残っていました。

自分のグリッド(PM95TQ)とPY5CCのグリッド(GG54RE)の位置関係を計算してみると、方位角37.6度・距離18,669km。当日のアンテナ固定方向は35度――ほぼ正面から入ってきていたことになります。単なるバックローブでの拾いものではなく、ダイレクトパスでした。伝搬がEsとF2の複合だったのか、TEPが絡んだのか、あるいはEsのコーダルホップ連鎖だけだったのかは分かりませんが、地球一周の半分近い距離を受信できたというだけでもワクワクします。

なぜこの受信に気づけたのか

答えはシンプルです。PSKRに情報を送信していたからです。

PSKRによれば、この瞬間PY5CCの信号を受信報告していたのは、僕を含めて3局。青葉区の局(PM95SO)と、白子町の局(QM05EK)でした。もちろんPSKRへの送信をオフにしている局もいるはずなので、実際にはもっと多くの局が受信していた可能性があります。

もし僕がPSKRへの送信をオフにしていたら、この受信記録は自分のALL.TXTの中に埋もれたまま、誰の目にも触れることなく終わっていたでしょう。逆に言えば、送信をオンにしている局が3局いたからこそ、この奇跡的な瞬間がお互いに可視化されました。

Give and Takeの精神

PSKRの設定方法については、以前この記事で詳しく書きました。今回改めて、設定画面を最新のものに差し替えて掲載します。

JTDXの設定画像

WSJT-X

MSHV

JTAlert

JTAlertについては、PSKRとは直接の関係はありませんが、HamSpots(https://hamspots.net/)で情報共有ができます。

設定はどれも数クリックで完了します。それでもなお、自局の情報を一切出さずに、他局が受信報告してくれた「旗が立った」という結果だけを享受している局を見かけることがあります。ネット接続が従量制、あるいはPCがオフライン運用という事情であれば仕方ありませんが、そうでないなら、ぜひオンにしていただきたいと思います。

情報の共有はとても大切なことです。しかしリグがCAT非対応であれば仕方ないですね。CAT非対応だと違うbandの情報を上げてしまうことがあり注意が必要です。

さらにその情報に正確性を出すため、ご自身のGrid Locatorは正確に入れましょう。各ソフトウェアには自局のGrid Locatorを入力する場所があります。少なくとも6桁のデータを入れましょう。4桁だと大雑把な位置表示になり、PSKR地図上で海上になってしまったりします。

JTDXはデフォルトで10桁まで対応しています。一方でWSJT-Xは6桁までですが、iniファイルをいじって10桁まで表示させることも可能となり、多くの方が8桁ないしは10桁のGrid Locatorを表示させています。

10桁のGrid Locatorを調べるには

http://www.k7fry.com/grid/

このサイトでご自身のご自宅を見つけてください。10桁まで入れるのに抵抗のある方は8桁で十分です。

iniファイルの編集は、WSJT-X/JTDXを閉じた状態で行ってください。

"C:\Users\各人の設定\AppData\Local\WSJT-X\WSJT-X.ini"
"C:\Users\各人の設定\AppData\Local\JTDX\JTDX.ini"

をテキストエディタで開き、いずれのiniファイルも

[Configuration]
MyCall=JP1LRT
MyGrid=PM95tq47gc

(私の場合はこのようになっています)

MyGrid= を編集して保存した後に各ソフトウェアを立ち上げれば反映されます。結果はPSKRでも確認できます。

情報はGive and Takeが基本です。今回のPY5CC受信も、複数局が情報を出し合っていたからこそ、お互いに「あの瞬間、あの局も同じ信号を捉えていた」と分かる形になりました。

さようなら、JA1BK 溝口さん ― 繋いでくれた縁に感謝して2026年07月21日 22時09分21秒

JA1BK 溝口皖司さんを偲んで

5月23日、JA1BK 溝口皖司さんがお亡くなりになりました。この知らせを受け取ったのは、それから約2ヶ月が経ってからのことでした。90歳を超えてなお現役で電波に出続けておられた方だっただけに、聞かされてもすぐには実感が湧かず、何度も文字を読み返しました。

このブログは基本的に趣味の話だけを書く場所にしてきましたが、今日だけは少し違う書き方をさせてください。溝口さんという人が、僕にとって、そしてこの趣味を通じて出会った多くの人にとって、どれほど大きな存在だったか。それを、事実と記憶の両方から、できる限り丁寧に記しておきたいと思います。

JARLでの足跡

溝口さんは、日本のアマチュア無線界において、長きにわたり中心的な存在でした。JARLの対外国担当理事として国際渉外に尽力され、1966年には、来日中のオーストラリア無線連盟(WIA)のエルオット氏(VK3AL)から、IARU第三地域の代表者を集めた会議開催の提案を受けたのが溝口さんだったという記録が残っています。この動きは、のちの第三地域会議構想へとつながっていきました。1978年のJARL役員選挙では、星山陽太郎さん(JA2JW)とともに全国選出理事に就任されています。

DXペディションの人、溝口さん

溝口さんの名を語るうえで欠かせないのが、そのDXペディション歴です。1980年、サイクル21のピーク期には南太平洋ツアーを敢行し、3D2DB(フィジー)、N6DX/NH8(米領サモア)、9M6MA(東マレーシア)などから運用されました。米領サモアでは「史上最初の50MHzのQRV」を実現し、ホテルからだとJAとオープンしないからと、毎日車で山に登って山頂からQRVされていたそうです。JAと400局ほど6mで交信されたと当時の記録にあります。

そして1991年。約40年ぶりにアマチュア無線が解禁されたアルバニアから、JA1HQG有坂芳雄さんとともにZA1Aを運用された、数少ない日本人の一人でもありました。著書「アマチュア無線 DXガイドブック」(オーム社、昭和43年刊)は、今なお色褪せることのないDXハンティングの指南書として知られています。

1980年、ヨーロッパが聞こえた日

今回、溝口さんについて調べ直していて、僕自身が最も心を動かされたのがこのエピソードでした。溝口さんの「後進を支える」というスタイルが、実は40年以上前からすでに一貫していたのだということを、初めて知ったからです。

1980年4月10日、6mバンドで長らく「交信不可能」とされていたヨーロッパとの初交信が実現しました。ジブラルタルのZB2BL、ジミー・ブルーゾンさんのビーコンが日本で入感していることを、埼玉県狭山市のJA1TGS・金子さんが最初に確認し、JA1RJU・小笠原一夫さんへ、そして溝口さんへと連絡がリレーされました。当時はダイヤル直通ではない国際電話です。真夜中に叩き起こされたジミーさんは、慌てて着替えてシャックに駆け込み、ビーコンキーヤーで何度かQRXを出しながらリグをチューンし、CWでJA1BKをコールしたといいます。

その日、最終的にQSOに成功したのはわずか4局でした。00:12Z JA1BK、00:19Z JA1TGS、00:20Z JA1PVI、00:25Z JA2GHT。6mにおける最長距離記録も、ZB2〜JA間28,768kmとして、1958年のJA3CE〜CT3AE(マデイラ島)によるロングパス記録を大幅に更新することになりました。

翌1981年、パイルアップを効率よくさばけるようにと、日本側から資金を募ってジミーさんにIC-551Dのトランシーバーが贈られています。遠く離れた無線家の運用環境そのものを整えてしまう。このスタイルは、この頃からすでに始まっていたのだと、今回改めて思い知らされました。

レアエンティティのQSLマネージャーとして

溝口さんは、後年になっても、JA局が確実に交信証を受け取れるようにと、レアエンティティのQSLマネージャーを何度も自ら引き受けておられました。マウントアトスのSV2RSG/A、エジプトのSU1SK、チェスターフィールド諸島のTX0C、そしてコンウェイ礁の3D2SM。TX0Cと3D2SMについては、僕自身も溝口さんのおかげでQSLを手にすることができました。

特に印象に残っているのは、2023年のRK9UT(ロシア極東ZONE18)の6m分QSLの一件です。当時、ロシア向けのPayPalも郵便も止まっているという厳しい状況の中、溝口さんはそれでもQSLマネージャーを引き受け、SASEでの受付やログ管理を粘り強く取りまとめておられました。「QSOしたらすぐにQSLの入手を」というメッセージを僕にも伝えてこられ、このブログでも情報を発信させていただいたことを覚えています。損得ではなく、ただアマチュア無線というホビーそのものへの深い愛情から動いておられる方でした。

僕と溝口さんとのこと

思えば、僕がこうしてブログで発信していることをご存知で、「その影響力でぜひ広めてほしいことがある」と最初に声をかけてくださったのが、僕と溝口さんとのお付き合いの始まりでした。それ以来、QSLマネージャーの話、DXペディションのこと、特に6m band FT8運用については具体的なアドバイスをいただき、実際に現地へ赴く運用者を紹介してくださって、直接お話しする機会まで作ってくださいました。

KO8SCA、エイドリアン・チュペルカさんとご縁をいただいたのも、溝口さんの紹介あってのことでした。ブーベ島をはじめ数々のレアエンティティに足を運んでこられた世界的なDXペディショナーとの出会いも、元をたどれば溝口さんの人脈の広さと、それを惜しみなく後進に開いてくださる姿勢の賜物でした。訃報をお伝えしたところ、エイドリアンさんも「2年前に実際にお会いして良い時間を過ごした。去年は体調のことで再会が叶わなかった」と返信をくださいました。世界中を飛び回ってきた彼にとっても、溝口さんは特別な存在だったのだと思います。

そして、今でも忘れられないのが、あの電話です。自宅にいるときに6mでDXが入感すると、溝口さんがわざわざ僕の携帯に電話をくださいました。もちろん、僕からも同じようにお伝えしていました。電話の向こうから聞こえてくる声には、いつも少年のような熱量とワクワク感がありました。何十年も無線を続けてこられた方なのに、その情熱はまったく色褪せていませんでした。

最後に

溝口さんは、しばらく体調を崩されていて、この春に一旦退院されたと伺っていました。しかし、また入院されたとのことで、4月以降、溝口さんの電波を受信することはありませんでした。90歳を超えてなお、まだまだお元気でいらっしゃると、僕は勝手に思い込んでいました。

国境を越えて人と人をつなぐこと。そして、その輪の中に後進を惜しみなく招き入れること。それが、溝口さんという人の生き方そのものだったのだと、今この記事を書きながら改めて感じています。1980年のZB2BLとの初交信に立ち会った青年時代から、90歳を超えてなお現役でRK9UTのQSL整理に奔走していた晩年まで、そのスタンスは何一つ変わっていませんでした。

溝口さん、長い間、本当にお世話になりました。あなたが繋いでくれた縁は、これからも僕の中で、そして僕が出会う人たちの中で、生き続けていくと思います。

心より、ご冥福をお祈りいたします。

73 de JP1LRT

目覚ましで起きたら、50MHzは北米大オープンだった――杉並区で観測した今季最大の6m Es2026年07月21日 13時46分53秒

2026年7月21日の朝、目覚ましをセットしていた06:30に起きて無線機を見たら、50MHzはすでに北米の大オープン状態だった。

後から聞いたところでは、05:30頃にはもう開いていたらしい。

実は朝5時半にトイレへ行った時、一度起きていた。 あの時スマートフォンを見ておけばよかった……と少し後悔している(笑)

「自分が不在の時に限って6mが開く」というのは、もはや6mあるあるだと思う。

だからこそ、昨日のヨーロッパに続いて、今朝は自宅にいる時にこれほどの北米オープンに巡り会えたことが、素直に嬉しかった。

50MHz FT8北米オープン時のWSJT-Xデコード画面

上の画像はピーク時そのものではないが、北米局が画面を埋めていた当時の雰囲気は伝わると思う。

WSJT-Xの受信ログを解析してみた

今回、僕のWSJT-XのALL.TXTから、06:33~11:53 JSTの北米局を抽出して解析した。

画面には米国、カナダ、メキシコの局が次々と現れていた。集計条件を米国・カナダ・メキシコに絞った結果は次の通りだった。

  • ユニークでデコードした米国・カナダ・メキシコ局:430局
  • 延べデコード数:8,817回
  • 1分間のピーク時刻:06:35 JST
  • 1ピリオド、15秒間の最大ユニーク局数:38局
  • 1ピリオドのピーク時刻:06:35:45 JST

06:35~06:41頃には、1ピリオド30局を超える状態が何度も続いていた。

僕が起きて無線機の前に座った時には、すでに今シーズンで最も濃い数分間に突入していたことになる。

グラフを見ると、起床直後の06:35頃に最大の山があり、その後いったん落ち込みながらも、08:40頃から10時前後にかけて再び厚い入感が続いていたことが分かる。

一瞬だけのオープンではなく、濃淡を繰り返しながら午前中いっぱい続いた、規模の大きなオープンだった。

西海岸だけではなかった

コールサインとグリッドロケーターのデータベースを照合したところ、430局中380局のグリッドを確認できた。

延べデコード数が多かったグリッドフィールドは、次の通りだった。

  • EM:2,527回
  • DM:2,365回
  • EN:1,835回
  • DN:571回
  • FN:453回
  • FM:352回

DMの米国南西部、EMの中南部、ENの中西部北部が特に強かったが、DNのロッキー山脈北部、FMの南東部、そしてFNの米国北東部・ニューイングランド方面まで届いていた。メキシコからはXE2JS、XE2CQ、XE2Xの3局を確認しており、メキシコ中部・北東部方面までパスが伸びていたことになる。

西海岸や南西部だけが開いていたのではない。

太平洋岸から中部、東海岸方面、そしてメキシコ方面まで、北米大陸の非常に広い範囲が同時に日本へ入感していた。

北米大オープン時のPSK Reporter画面

PSK Reporterの画面を見ても、北米大陸の西側だけではなく、中部から東海岸に至る広い範囲へ伝搬していた様子が分かる。

なお、コールサイン・データベースのグリッド情報は、移動運用や引っ越しなどにより、当日の実際の送信地点と異なる場合がある。

また、PSK Reporterの表示は、受信ログそのものとは性質が異なる。

それでも、今回の伝搬が北米大陸の非常に広い範囲に及んでいたことを示す資料としては、十分に印象的だと思う。

同じ関東でも、見えている北米がまったく違う

今回、特に面白かったのがJR1LZK局との比較だった。

JR1LZK局は水戸市、QM06FI。

僕は東京都杉並区、PM95TQ。

同じ06:48:45 JSTのピリオドを比較しても、画面に現れている局数も、見えている局の顔ぶれも大きく異なっていた。

JR1LZK局の設備は、9.1mブームの7エレ八木を3枚使用した三角形スタック。

水平間隔7.5m、垂直間隔7.0m、最上段は32mという本格的な6m設備で、1ピリオドに北米局を60局以上デコードした場面もあったという。

一方、僕の設備は杉並区の住宅地に設置した、9.8mブームの7エレ一枚。

設備差は当然大きい。

しかし、それだけではない。

50MHzのマルチホップEsでは、最終ホップの着地点や散乱域の位置によって、同じ関東地方でも受信状況が大きく変わる。

さらに、次のような要素がすべて重なる。

  • アンテナの利得と高さ
  • アンテナのビームパターン
  • 周辺のノイズフロア
  • 強力なJA局によるマスク
  • 受信機やAGCの状態
  • WSJT-XとJTDXのデコード特性

したがって、当然ですが今回の430局という数字は全国共通の値ではなく、

「2026年7月21日、東京都杉並区PM95TQのJP1LRT局で観測した北米オープン」

という、一地点での観測記録として見るべきです。

逆に言えば、杉並区の7エレ一枚でも1ピリオド38局、WSJT-X単独のログで430局が確認できたのだから、この日のオープンがどれほど大きかったかが分かる。

WSJT-XとJTDXの二面起動が実戦で役に立った

僕はWSJT-XとJTDXを同時に起動して運用している。

同じ受信音を入力していても、両者のデコード結果は完全には一致しない。

WSJT-Xではデコードできなかった局をJTDXだけが拾うこともあれば、その逆もある。

今回の実際のQSOログにも、WSJT-XのALL.TXTには記録されていない局が含まれている。

それらはJTDX側だけでデコードできた局を見つけ、周波数やメッセージを確認した上で、WSJT-X側から手動で対応してQSOしたものだ。

だから、

「WSJT-Xでデコードした430局の中から交信した」

という単純な包含関係にはならない。

実際の運用では、二つのデコーダーがそれぞれ拾った情報を、人間がリアルタイムで統合している。

こうした運用をしているDXerは少なからずいる。

彼らもやり手だと思う。

二面起動は単に画面を二つ並べているのではない。

片方で取りこぼした弱い局をもう片方で救い、それを実際のQSOへつなげる、実戦的なデコード・ダイバーシティとして機能している。

今回は送信タイミングも特殊だった

50MHz FT8では、通常はJA局が奇数側、

2nd / ODD
15秒・45秒

で送信し、DX局が偶数側、

1st / EVEN
00秒・30秒

を使うという慣習がある。

JAの強力なローカル信号が、JA局が受信したい弱いDX信号を覆い隠さないための考え方だ。

しかし今回は、北米局の多くが奇数側で送信していた。

米国内では東海岸と西海岸の間でも送信タイミングが分かれることがあり、すでに成立していた米国内や他地域との運用の流れを維持したまま、突然JAとのパスが開くことがある。

また、米国とヨーロッパが同時に開いている場合、ヨーロッパ局は通常偶数側で送信するため、米国局は奇数側を使う。

その状態で米国からアジアへのパスまで開けば、アジア側が偶数を使わざるを得ない状況も生じる。

だから重要なのは、

「原則を知った上で、その時の状況を読むこと」

だと思う。

原則を知らずに偶数側でCQを出し続けることと、実際に入感しているDX局のタイミングを確認し、状況判断の結果として偶数を選ぶことは、同じではない。

原則を守ることと、状況を読まないことは違う

今回、北米局の多くが奇数側に並んでいる中で、奇数側からCQを出し続けるJA8エリアの局がいた。

Esに乗った強力なJA信号が、同じタイミングで届いている複数の弱い北米局をマスクしていた。

さらに、偶数側でCQを出していたJA局を、別のJA局が呼ぶ場面も見られた。

北米がこれほど大きく開いている時の50.313MHzでのCQは、実質的には「CQ DX」と同じ意味を持つ。

国内同士でQSOしたいのであれば、50.303MHzのFT8を試すか、FT4へ移るという選択肢がある。

少なくとも、周囲に何が入感しているかを見ずにCQを出すべきではないと思う。

50MHz FT8の基本的な運用目安としては、次のようになる。

  • CQは原則として2nd / ODD、15秒・45秒
  • ただしDX局が実際にどちら側で送信しているかを必ず確認する
  • 50.323MHzは大陸間DX用として扱い、国内QSOには使用しない
  • 50.313MHzが混雑している時の国内QSOは50.303MHzを検討する
  • 国内QSOではFT4も活用する

このあたりを共有しておくことが、DX局を守り、同時にJA全体の受信機会を守ることにつながると思う。

詳しい考え方は、以前こちらの記事にまとめている。

50MHz FT8で国内局とDX局が共存するために

だから6mは面白い

今回は新しいグリッドロケーターとも数多くQSOできた。

05:30頃から開いていたと聞くと、朝5時半にトイレへ行った時にスマートフォンを確認していれば……とは思う。

しかし、目覚ましで起きた時にはすでに大オープンしていて、そのピーク付近を自分の設備で実際に体験できた。

設備が違えば見える局数が違う。

地域が違えば、同じピリオドでも見えている局そのものが違う。

ソフトが違えば、拾える弱い局も違う。

そして最後は、その情報を見たオペレーターがどう判断し、どう動くかで結果が変わる。

だから6mは面白い。

2026年夏の、忘れられないオープンの一つになった。

第56回 6m AND DOWN コンテスト X50 参加記2026年07月06日 16時59分56秒

第56回 6m AND DOWN コンテスト X50 参加記

西高北低の6m、そして届かなかったあと一歩

第56回 6m AND DOWN コンテストに、今年も X50部門 で参加しました。

まず最初に、交信してくださった皆さん、ありがとうございました。
呼んでいただいたのに取り切れなかった皆さん、ごめんなさい。
また次のチャンスで、ぜひよろしくお願いします。

今年の6mは、ひと言でいえば 西高北低 でした。
西・南西方面はかなり使えた一方で、東北から北海道方面は限定的。
スキャッターも派手には出ず、「どこでも開いている」という感じではありませんでした。

開始直後、50MHz FT8ではEU方面が開いていたようですが、そこは完全スルー。
今回はコンテストに専念しました(笑)

今年の全体像

今年の特徴は、大きく分けると次のようなものでした。

  • スタート直後のペースはかなり良好
  • 西・南西方面、特に九州・沖縄方面が強い
  • 北海道方面は一部のみで、全面的なオープンではない
  • スキャッターは限定的
  • CWの比率がかなり高い
  • 山口、滋賀、小笠原など、取りたかったマルチを落とした
  • 途中で仮眠と短い休憩を入れたが、大勢には大きく影響しなかった

コンテストとしては、かなり楽しめました。
ただ、あと一歩届かなかった悔しさも残りました。

交信局数の推移

今年の交信局数の推移を見ると、スタート直後はかなり良い入りでした。

特に21時台はSSBで一気に局数が伸び、最初の1時間でかなりの土台を作ることができました。
その後、22時台からCWへ比重を移し、23時台、0時台にかけてCW中心で細かく拾っていく形になりました。

一方で、深夜帯は例年通りほぼ止まります。
2時過ぎから5時頃までは仮眠を取りましたが、この時間帯は毎年大きく伸びる時間ではないため、スコアへの影響はほとんどなかったと思います。

朝5時以降に再開し、午前中に再び局数が伸びました。
特に9時台から11時台にかけては、今年の伸びを支えた重要な時間帯でした。

図1:2026年と2025年の交信局数推移

今年のグラフは、昨年と比べて明らかに上側を推移しています。
ただし、単に「ずっと開いていた」というよりは、開いている方向と時間帯をうまく拾っていった結果という印象です。

30分ごとの動き

30分単位で見ると、今年の動きはかなり分かりやすいです。

スタート直後の30分は非常に強く、その後も0時台前半までは良いペースを維持しました。
その後は深夜帯で一気に落ち込み、5時台から再始動。
午前中に再び伸び、終盤も粘る形でした。

ざっくり言うと、次のような流れでした。

  • 21時台:初動の主力。SSBで一気に積む
  • 22〜23時台:CWへ移行しつつ、西・南西方面を拾う
  • 0〜1時台:CW中心。弱いところを拾う時間
  • 2〜5時台:実質的に休止・仮眠
  • 5〜8時台:CWで各地を拾い直す
  • 9〜11時台:今年の重要時間帯。西・南西方面が効いた
  • 12時台:短時間休憩の影響あり
  • 13〜14時台:最後の追い込み

一分あたりの最大交信局数

一分あたりの最大交信局数は、今年もやはりスタート直後に出ています。

今年の最大は 1分間に4交信
これはすべてSSBで、21時台前半に集中していました。

具体的には、最大レートを記録したのは以下の時間帯です。

モード 最大レート 回数 時刻
SSB 4 QSO/分 4回 21:08、21:10、21:11、21:19
CW 3 QSO/分 3回 22:07、23:18、23:29

SSBの瞬間最大レートはやはり強いです。
ただし、今年の全体を支えたのはCWでした。

CWでは1分4局までは行っていませんが、弱い信号、微妙なパス、混み合った時間帯を安定して拾うには、やはりCWの力が大きいと感じました。

CWとSSBの比率

今年はCW比率が高い年でした。

ここ数年のモード比率を見ると、今年はかなりCW寄りです。

CW SSB CW比率
2022 364 287 55.9%
2023 330 237 58.2%
2024 362 271 57.2%
2025 309 269 53.5%
2026 397 256 60.8%

今年は5年の中で最もCW比率が高くなりました。

これは、単にCWに長くいたというだけではなく、コンディションの性格も反映していると思います。

九州・沖縄方面はSSBでもかなり取れました。
一方、東海、北陸、中国、北海道方面などは、CWで拾った局の比率が高くなりました。

つまり今年は、

強く開いた方向はSSBでも取れた。
微妙な方向はCWで拾った。

という年だったと思います。

地域別に見た今年のコンディション

ログの受信ナンバーをもとに地域別に見ると、今年の特徴はかなり明確です。

九州・沖縄方面

今年いちばん印象に残ったのは、やはり九州・沖縄方面です。

ここ数年の傾向を見ると、九州・沖縄方面は明らかに存在感を増しています。

地域 2022 2023 2024 2025 2026
九州・沖縄 33 31 32 44 63

2022〜2024年は30局前後でしたが、2025年に増え、今年はさらに大きく伸びました。

しかも今年は、九州・沖縄方面のCW/SSB比率がほぼ半々でした。
これは重要です。

弱いパスをCWで拾っただけなら、CW比率がもっと高くなるはずです。
しかし今年はSSBでもかなり交信できています。

つまり、九州・沖縄方面は単に「届いた」のではなく、かなり実用的に開いていたと見てよいと思います。

東海方面

東海方面も今年は伸びました。

ただし、九州・沖縄とは少し性格が違います。

東海は局数としては増えましたが、CW比率もかなり高くなっています。
これは「強く開いた」というより、広く届いたが、信号としてはややマージナルだったという印象です。

SSBで楽に積むというより、CWで丹念に拾った伸び方でした。

北海道方面

北海道は今年、かなり限定的でした。

2024年は別格でした。
開始直後から北海道が強く、101〜114の多くの地域が一気に入る、いわば「北が全面的に開いた年」でした。

それに対して今年は、北海道方面のオープンは狭く、深さもありませんでした。

今年取れた北海道方面は、主に101〜106の北部・中央部寄りでした。
一方で、107以降、つまり根室、後志、十勝、釧路、日高、胆振、檜山、渡島方面は届きませんでした。

北海道方面 2022 2023 2024 2025 2026
合計 34 8 54 22 11

2024年の北海道54に対して、今年はかなり少なめ。
これは今年の「北低」をよく表しています。

中国地方と山口

今年の面白い、というか気持ち悪いポイントが山口です。

中国地方全体がまったくダメだったわけではありません。

岡山、島根、鳥取、広島は交信できています。
さらに西側の福岡、佐賀、長崎、熊本もよく入っています。

それなのに山口だけが落ちました。

コード 地域 2026
31 岡山 2
32 島根 3
33 山口 0
34 鳥取 1
35 広島 3
40 福岡 11
41 佐賀 9
42 長崎 11
43 熊本 8

これは単純な「西が開かなかった」では説明できません。

山口局の活動が少なかったのか、出ていたがタイミングが合わなかったのか、あるいは関東から見たEsのスキップの谷に山口付近が入ってしまったのか。

原因は断定できませんが、少なくとも今年の山口は明確な空白でした。

マルチの伸び方

今年のマルチは、スタート直後にかなり進みました。

21時台だけで、関東周辺、東北の一部、東海、近畿、九州・沖縄、北海道の一部まで一気に入りました。
特に21時台に沖縄、福岡、熊本、長崎、宮崎、佐賀などが入ってきたことで、今年の西・南西方面の強さが早い段階で見えていました。

その後、22〜0時台で少しずつ追加。
深夜に細いパスをCWで拾い、朝以降もCWで未取得地域を拾っていきました。

今年の新マルチ追加の流れは、おおよそ次のような感じです。

時間帯 新規マルチの動き
21時台 初動で大きく伸びる。九州・沖縄、東海、近畿、北海道の一部も入る
22時台 鹿児島、長野、三重などを追加
23時台 京都、岐阜、岩手などを追加
0時台 新潟、秋田、徳島を追加
1時台 宗谷を追加
2時台 広島を追加して仮眠へ
5〜8時台 鳥取、香川、福井、岡山、島根、青森、富山、高知、兵庫などを追加
10〜11時台 大分、北海道の一部、石川を追加
14時台 最後に愛媛を追加

最後の愛媛はかなり大きかったです。
終盤に1つでもマルチが増えると、スコアへの効き方がまったく違います。

小笠原は残念

小笠原は、運用局がいたことは把握していました。

しかし今回は開きませんでした。
これは本当に残念。

小笠原は、そこに局がいても、開かなければどうにもなりません。
ある意味、6mらしいマルチです。

今年は西・南西方面がよく、北海道方面が限定的、そして小笠原は届かず。
このあたりが、今年のコンディションの偏りをよく表していたと思います。

仮眠と休憩

毎年のことですが、2時過ぎから5時頃までは仮眠を取りました。

この時間帯は、6m AND DOWNの50MHzでは大きく伸びる時間ではありません。
今年も2時台に少しだけ動きがありましたが、その後はほぼ止まりました。

経験的にも、この仮眠はスコアへの影響がかなり小さいと思っています。

一方、今年は12時から20分ほど休憩を入れました。
ここは多少影響があったかもしれません。

12時台は全体としても少し落ちています。
ただ、18時間のコンテストを最後まで集中して戦うためには、休憩も必要です。
ここは仕方ないところです。

昨年との比較

昨年と比べると、今年はかなり良い内容でした。

昨年はマルチが伸びず、全体としても少し苦しい印象でした。
今年は交信の流れもよく、特に西・南西方面の伸びが大きく効きました。

ただし、単純に「局数が増えたから良かった」というだけではありません。
スコア上は、局数の増加とマルチの増加がほぼ同じくらい効いています。

つまり今年は、

局数も増えた。
マルチも増えた。
その両方で昨年を上回った。

という内容でした。

ここ数年の傾向

自分の6m AND DOWNの参加履歴を見ると、単純な年比較は少し注意が必要です。

2014年から2019年頃は、主に /6 での移動運用でした。
2020年と2021年はC50、つまり電信部門でした。
そして2022年以降が、現在の比較対象となる関東固定X50です。

そのため、今年の結果を直接比較すべきなのは、主に2022年以降です。

2022年は総合的に強い年。
2023年はやや抑えめ。
2024年は北海道を含めた大きなオープンがあり、かなり強い年。
2025年はマルチ面で苦しい年。
そして今年2026年は、西・南西方面を中心に伸ばした年でした。

関東で勝つことと、全国で勝つこと

このコンテストは、関東で勝てても全国で勝てるとは限りません。

50MHzの場合、関東はローカル局数が非常に多く、開かない年でも一定の局数を積めます。
その意味では、関東固定局には大きな強みがあります。

一方で、全国的に大きく開くと、地方の強い局は関東の大量局を一気に得点源にできます。
九州や北海道、その他の移動局が関東を大量に取れるようなコンディションになると、全国順位では関東固定局が必ずしも有利とは言えなくなります。

つまり、

関東エリアで勝つゲーム
全国で勝つゲーム

この2つは、似ているようで少し違います。

全国を狙うなら、実は「開きすぎる年」よりも、「他地域が爆発しすぎず、自分だけがうまく拾える年」の方がチャンスがあります。

今年はその意味で、かなり面白いコンディションでした。
ただ、全国トップを狙うには、あと数マルチ欲しかったというのが正直なところです。

鬼門のマルチ

この数年のログを見ると、鬼門のマルチも見えてきます。

特に難しいのは、北海道の一部です。

ここ数年で見ると、日高、檜山は非常に厳しい。
根室、胆振、渡島も簡単ではありません。
小笠原は、局がいて、なおかつ開いてくれないとどうにもなりません。

今年落とした中で、特に悔しいのは山口と滋賀です。

山口は、周辺が取れているだけに悔しい。
滋賀も、決して地理的に無理な場所ではないだけに悔しい。

こういう「取れそうで取れないマルチ」が、結果的に最後まで効いてきます。

今年のまとめ

今年は、全面的に開いた年ではありませんでした。

西・南西方面は強く、特に九州・沖縄方面はかなり実用的に開きました。
一方で、北海道方面は限定的。
スキャッターも派手ではありませんでした。

その中で、SSBで積めるところは積み、CWで拾うべきところは拾う。
アンテナ方向を見ながら、開いている方向、散乱している方向を探る。
そういう意味では、6mらしい、かなり面白いコンテストだったと思います。

コンディションに翻弄されつつも、楽しみながら全力で参加できました。

以下、スコアのネタバレが含まれます。
見たくない方は、スルーしてください。
























































今回の自己集計

最後に、今回の自己集計です。

今年はCQ WW VHFとの日程重複があり、海外局からも呼ばれましたが、6m AND DOWN上は国内コンテストのため0点扱いです。

項目 数値
ログ上の交信数 653
得点対象ポイント 642
マルチ 49
スコア 31,458

0点交信の内訳は、海外局6局と国内重複5局でした。

50マルチには届きませんでした。
ここは少し悔しいところです。

参考:関東固定X50期の比較

部門 エリア ポイント マルチ スコア 備考
2022 X50 関東 647 51 32,997 公式
2023 X50 関東 565 47 26,555 公式
2024 X50 関東 618 56 34,608 公式
2025 X50 関東 577 44 25,388 公式
2026 X50 関東 642 49 31,458 自己集計・提出前

2026年は、関東固定X50期で見ると、2024年、2022年に次ぐ位置になりました。
公式審査後に多少変動する可能性はありますが、自分としては、今年のコンディションの中ではよく粘れたと思います。

交信してくださった皆さん、改めてありがとうございました。
また次回、お会いできるのを楽しみにしています。

住宅用太陽光発電設備の「事前確認テンプレート集」を作成しました ― 防げる近隣トラブルを、契約前・施工前に防ぐために ―2026年07月04日 17時38分37秒

住宅用太陽光発電設備の「事前確認テンプレート集」を作成しました  
― 防げる近隣トラブルを、契約前・施工前に防ぐために ―

住宅用太陽光発電設備や蓄電池設備の普及が進んでいます。

私自身、太陽光発電そのものに反対しているわけではありません。再生可能エネルギーを適切に活用していくことには意義があると思っています。

しかし一方で、住宅用太陽光発電設備を構成するパワーコンディショナー、蓄電池、直流配線、交流配線などから発生する不要電波や高周波電流が、近隣の無線設備に影響を与える可能性があります。

アマチュア無線は、非常に微弱な電波を受信することが多い通信です。周辺機器から発生するわずかなノイズでも、ノイズフロアが上昇し、それまで受信できていた信号が受信できなくなることがあります。

これは単なる個人的な心配ではありません。

総務省は、令和6年5月14日付で、JEMA(日本電機工業会)およびJPEA(太陽光発電協会)に対し、「太陽光発電システムを原因とする無線通信への障害防止について(依頼)」という正式な依頼文書を出しています。

この文書では、太陽光発電システムによる無線障害、防災行政無線や消防・救急デジタル無線等への影響、電波法第101条・第82条第1項、CISPR 11第6.2版、遮蔽、ノイズフィルタ等の対策例が示されています。

ただ、問題が起きてからでは遅い場合があります。

パネルが設置され、PCSが稼働し、系統連系が始まってから受信障害が発覚すると、原因の切り分けも、対策も、関係者間の調整も一気に難しくなります。

施主さんも困ります。
施工会社さんも困ります。
ハウスメーカーさんも困ります。
近隣住民も困ります。

それならば、契約前・施工前・現地調査の段階で、できる確認はしておいた方がよいはずです。

そこで今回、同じような問題に直面しているアマチュア無線家の方が使えるように、「事前確認テンプレート集」を作成しました。

■ テンプレート集の構成

今回用意したのは、次の3種類です。

1. 大手ハウスメーカー・大手施工会社向け 完全版

大手企業の場合、品質管理部門、施工管理部門、コンプライアンス部門、設計部門などへ文書が回る可能性があります。

そのため、最初から法的根拠、公的資料、確認項目、添付資料欄まで含めた正式な文書にしています。

太陽光発電設備等の設置に反対するものではないこと、施主個人の個人情報や契約内容の開示を求めるものではないこと、確認したいのは機器仕様や基準適合、施工上の配慮であることを明記しています。

2. 地元工務店・中小施工会社向け 簡易版

一方、地元工務店や小規模な施工会社に対して、最初から法令や行政文書を強く出すと、クレームや法的な脅しのように受け取られる可能性があります。

そこで中小企業向けには、まず柔らかい相談文にしました。

「近くに住んでおり、アマチュア無線を趣味として楽しんでいる者です」
「工事の看板を拝見し、ご連絡させていただきました」
「太陽光発電に反対しているわけではありません」

という形で、まず話をつなぐことを重視しています。

3. 2枚目・詳細資料

中小企業向け簡易版に反応があった場合や、相手から詳しい説明を求められた場合に渡す補足資料です。

ここでは、CISPR 11第6.2版以降に整合したPCS、PCSのメーカー名・型式、配線の最短化、ループ面積の低減、金属管・金属ダクト等による遮蔽、ノイズフィルタ・フェライトコア、系統連系前後の受信状態確認など、具体的な確認項目を整理しています。

また、電波法第101条・第82条第1項、総務省の総基環第97号、JPEA販売規準、NEDOガイドライン、環境共生まちづくり協会の資料なども参考資料としてまとめています。

■ READMEも作成しました

テンプレートだけでは、どの場面でどれを使えばよいか迷うかもしれません。

そこで、READMEも作成しました。

READMEでは、

・相手が大手企業か中小企業かによる使い分け  
・工事看板を見つけた時の対応  
・最初に伝えるべきこと  
・一度に多くを求めないこと  
・「基準は満たしている」「前例がない」と言われた場合の返し方  
・「善処します」で終わらせず、誰が何をいつまでに確認するかを残すこと  
・施主さん個人を責めないこと  
・監視ではなく事前確認であること  
・不法電波と断定せず、不要電波、ノイズ、受信障害などの表現を使うこと  

などを整理しています。

■ 大切なのは「反対」ではなく「共存」

このテンプレート集の目的は、太陽光発電設備を止めることではありません。

近隣の工事を監視することでもありません。
施主さんを詮索することでもありません。

更地ができた。
工事看板が立った。
公開されている連絡先に、施工前に丁寧に確認する。

そのための文例です。

太陽光発電設備と近隣の電波環境は、適切な機器選定と施工、そして事前確認によって共存できると考えています。

問題は、その確認が施工前に行われないまま設置が進み、後からトラブルになることです。

防げる近隣トラブルを、契約前・施工前に防ぐ。

このテンプレート集が、同じ問題に直面している方の参考になれば幸いです。

テンプレート集はこちら


散歩しよう🚶‍♂️📡☀️2026年07月04日 09時15分05秒

散歩しよう🚶‍♂️📡☀️

以前、近所を散歩することのお勧めを投稿しました。今回は、実際にあった二つの経験を通して、なぜそれが大切なのかをもう少し具体的に書いてみます。

一つは、こんな経験です。近所に更地ができ、しばらくして工事看板が立ちました。看板に記載された、誰でも見られる連絡先へ、施工が始まる前の段階で丁寧に問い合わせたところ、太陽光発電設備の設置予定があることを含め、いろいろな話をすることができました。設置後には、パワーコンディショナーのオンオフに協力していただき、その場でノイズの有無を一緒に確認することもできました。

もう一つは、別の知人の経験です。パネルが設置された後になって声をかけたため、話がなかなか噛み合わず、こじれてしまったそうです。

この二つの違いを分けたのは、相手が良い人だったか悪い人だったかではないと思っています。分かれ道は、ただ一つ、いつ声をかけたかです。

大切なのは、近隣の工事を監視することでも、施主さんを詮索することでもありません。

更地ができた、看板が立った、という地域の変化に気づくこと。そして、看板に記載された公開の連絡先へ、施工が始まる前に、丁寧に事前確認をすること。それだけです。

目的は反対でも詮索でもありません。適切な機器を選び、適切に施工すれば、太陽光発電設備と近隣の電波環境は共存できます。問題は、その確認が施工前に行われないまま設置が進んでしまうことです。

設置後にトラブルになれば、施主さん、施工会社、近隣住民、そのすべてが困ります。まだ間に合う段階で確認しておくことが、結局は全員のためになります。

パネルが載ってからでは遅い。PCSが動き出してからでは、もっと難しい。

防げる近隣トラブルを、契約前・施工前に防ぐ。

その第一歩は、今日の散歩から始められます。🚶‍♂️📡☀️

住宅用太陽光発電設備とアマチュア無線アンテナ ― 現地調査で「見えているのに認識されない」問題について ―2026年07月04日 06時12分41秒


住宅用太陽光発電設備とアマチュア無線アンテナ  
― 現地調査で「見えているのに認識されない」問題について ―

住宅用太陽光発電設備や蓄電池設備の普及が進んでいます。

私自身、太陽光発電そのものに反対しているわけではありません。再生可能エネルギーを適切に活用していくことには意義があると思っています。

しかし一方で、住宅用太陽光発電設備を構成するパワーコンディショナー、蓄電池、直流配線、交流配線などから発生する不要電波や高周波電流が、近隣の無線設備に影響を与える可能性があります。

これは単なる心配ではありません。

総務省は、令和6年5月14日付で、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)および一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)に対し、

「太陽光発電システムを原因とする無線通信への障害防止について(依頼)」

という正式な依頼文書を出しています。

この文書では、太陽光発電システムからの不要な電波発射が無線設備に障害を与えた事例が相次いでいること、さらに住宅用太陽光発電システムの一部機器が、地方公共団体の防災行政無線や消防・救急デジタル無線等の人命に関わる無線設備に障害を与えた事例もあることが明記されています。

また、重大かつ継続的な障害を与えた場合には、電波法第101条において準用する第82条第1項に基づく障害除去命令の対象となり得ることも示されています。

参考:
総務省「太陽光発電システムを原因とする無線通信への障害防止について(依頼)」


■ 現地調査で確認すべきことは、すでに業界資料にも書かれている

住宅用太陽光発電設備の販売規準や、NEDOの建物設置型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン等では、近隣にアマチュア無線局などがある場合、通信環境への影響に配慮する趣旨の記載があります。

つまり、

「近くにアマチュア無線局があるか確認する」

という考え方自体は、すでに業界資料の中に存在しています。

しかし、ここで大きな問題があります。

現地調査を行う営業担当者、設計担当者、施工担当者が、

「どれがアマチュア無線のアンテナなのか」

を知らなければ、確認のしようがないのです。

屋根の上や庭、ベランダ、タワー、ルーフタワーにアンテナが見えていても、それがテレビアンテナなのか、アマチュア無線用アンテナなのか、高感度受信設備なのかを判断できなければ、現地調査票には反映されません。

つまり、現場では、

「見えているのに、認識されない」

ということが起こり得ます。


■ アマチュア無線アンテナの図解資料を作成しました

そこで、代表的なアマチュア無線アンテナの形状をまとめた図解資料を作成しました。

タワー、ルーフタワー、大型八木アンテナ、V型ダイポール、ロータリーダイポール、ワイヤーアンテナ、GPアンテナなど、住宅地でも見かける可能性のある代表例をまとめています。

また、UHFテレビ受信アンテナとの違いも入れました。

もちろん、アンテナの種類は非常に多く、この図ですべてを網羅できるわけではありません。八木アンテナなどは、テレビ受信用やFM受信用のアンテナと似て見える場合もあります。

だからこそ、断定ではなく、

「こういう設備が見えたら、近くにアマチュア無線局や高感度受信設備がある可能性がある」

「分からなければ確認する」

という考え方が大切です。

アンテナ図解資料:


■ 提言PDFも作成しました

あわせて、住宅用太陽光発電設備等における近隣無線設備への影響防止に関する提言PDFも作成しました。

この提言では、電波法第101条が、無線設備以外の設備にも第82条第1項を準用する趣旨を整理しています。

太陽光発電設備や蓄電池設備そのものは通常「無線設備」ではありません。しかし、それらが副次的に発する不要電波や高周波電流によって、無線設備に継続的かつ重大な障害を与える場合には、電波法上の監督対象となり得ます。

提言書では、以下のような点を整理しました。

・現地調査時に、近隣のアマチュア無線アンテナや高感度受信設備を確認すること  
・PCSや蓄電池等の型式を確認し、CISPR 11第6.2版以降の基準に整合した機器を選定すること  
・直流配線、交流配線、接地、遮蔽、不要なループ、ノイズフィルタ等について、施工前に検討すること  
・系統連系前後に、必要に応じてノイズの有無を確認すること  
・万一障害が発生した場合の窓口、調査、対策、費用負担の考え方を事前に整理しておくこと  
・販売、設計、施工、現地調査、担当者教育、チェックリストへ反映すること  

提言PDF:


■ すでに一部から反応もいただいています

この提言書とアンテナ図解資料は、関係団体、ハウスメーカー、施工会社などへ順次提供しています。

すでに一部のハウスメーカーからは、

「関係部門へ共有し、今後の業務改善に活用する」

という趣旨の回答もいただいています。

また、住宅メーカーと話し合う予定のあるアマチュア無線家の方からも、「参考資料として活用したい」という反応をいただきました。

これは、単に資料を作っただけでなく、実際の現場で使われ始めているという意味で、とても重要だと思っています。


■ 目的は「反対」ではなく「共存」です

繰り返しますが、私の立場は、太陽光発電に反対するものではありません。

問題にしたいのは、太陽光発電設備そのものではなく、

「事前に確認しておけば防げる近隣トラブルが、確認不足のまま発生してしまうこと」

です。

設置後に受信障害が発生すると、困るのはアマチュア無線家だけではありません。

施主さんも困ります。  
近隣住民も困ります。  
ハウスメーカーや施工会社も対応に追われます。  
機器メーカーも調査や対策を求められます。

それならば、契約前・設計前・施工前の段階で、確認できることは確認しておく方が、全員にとって良いはずです。

反射光については、住宅用太陽光発電設備の設置時に近隣への配慮が必要だという認識が広がっています。

同じように、不要電波や高周波電流による無線設備への影響についても、

「事前に確認する」

という文化が広がってほしいと思っています。


■ 防げる近隣トラブルを、契約前・施工前に防ぐ

今回作成した提言PDFとアンテナ図解資料は、アマチュア無線家だけのための資料ではありません。

むしろ、ハウスメーカー、販売会社、施工会社、自治体、業界団体の方々にこそ見ていただきたい資料です。

現地調査で何を見ればよいのか。  
どのような設備が近隣無線設備の可能性を示すのか。  
どのような公的資料や業界資料があるのか。  
どの段階で確認しておけばよいのか。

こうした点を整理することで、太陽光発電設備と近隣の電波環境は、十分に共存できると考えています。

防げる近隣トラブルを、契約前・施工前に防ぐ。

そのための一つの材料として、この提言書とアンテナ図解資料を活用していただければ幸いです。

ご迷惑おかけしました2026年06月21日 19時39分19秒


6m FT8 モニターした状態で離席していたら、false decodeに食いつき、その後 WDのリミットまでCQ垂れ流していた様子です。

ご迷惑おかけしました。