6m FT8 DXシーズン到来 — 皆で幸せになるための運用作法(2026年版)2026年05月22日 11時20分33秒

## 6m FT8 DXシーズン到来 — 皆で幸せになるための運用作法(2026年版)

毎年この時期になると書いている話ですが、今年も改めて。

2020年・2023年にも同様の記事を書きました。


繰り返し書くのには理由があります。毎年FT8を始める方が一定数いて、この慣習を知らないまま運用されるケースが続くからです。決して責める話ではありません。知らなければ当然そうなります。だからこそ書き続けています。

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### 今年(2026年)の状況


Solar Cycle Sunspot Number Progression(出典:NOAA/NWS Space Weather Prediction Center、2026年5月2日更新)

上のグラフをご覧ください。太陽活動サイクル25は2024年末頃にSSN 200超でピークを打ち、2026年現在は明確な下降局面に入っています。それでも平滑化SSNはまだ100前後と高水準にあり、F2伝搬は引き続き活発です。

そしてこの時期、50MHzにはもう一つの伝搬が加わります。マルチホップEsのシーズン(5月〜8月上旬)です。F2とEsが重なるこの時期は、50MHzのFT8バンドに多くの局が集まります。だからこそ、バンドの使い方を改めて確認しておく価値があります。

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### なぜ「JAは CQ の Tx が奇数秒(2nd / 15:45)」なのか

FT8は15秒を1ピリオドとして、偶数秒スタート(00秒・30秒)と奇数秒スタート(15秒・45秒)の2系統が交互に動いています。

マルチホップEsでヨーロッパ・中東・北米が入感するとき、相手のDX局は多くの場合偶数秒(00/30)でTXしています。DX局が送信している間、こちらは受信する。そして奇数秒(15/45)でこちらが送信し、DX局が受信する——これが理想の流れです。

ところがJAの局が偶数秒(00/30)でCQを出していると何が起きるか。DX局が送信しているタイミングと完全に被ります。自局の強いローカル信号が周囲のJA局の受信機でDXの微弱な信号を覆い隠してしまい、せっかくのDXを誰も受信できません。

逆に言えば、JAが一斉に奇数秒(15/45)でTXする習慣を守れば、偶数秒(00/30)の受信タイムを全員で共有できる。限られたチャンスを最大多数で活かせる、極めて合理的な取り決めです。

義務でも規則でもありません。しかし欧米の6mコミュニティでは広く認知されており、「JAは2nd」は国際的に通用するコンセンサスです。

考えてみてください。CQをどちらのピリオドで出しても、応答が来る確率は変わりません。ならば奇数秒(15/45)で出すことで、偶数秒のDXの弱い信号を守れるなら——自分には何の損もなく、バンド全体が得をする。こんなにコストパフォーマンスの良い協力はないと思いませんか?

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### 6m bandのDXを守る意味

誤解のないように言っておくと、私はDX至上主義ではありません。国内QSOにも同じだけの価値があります。ただ、6m bandの特性を考えれば、マルチホップEsで入感する超遠距離のDXは保護してしかるべきだと思っています。

理由は単純で、そのチャンスは突然やってきて、あっという間に消えるからです。国内向けの1ホップEsは比較的機会が多く、コンディションさえ上がれば楽しめます。北海道〜沖縄のような長距離パスは2ホップEs的な伝搬が関与することもありますが、それでも国内での交信機会は海外DXに比べれば圧倒的に多い。一方、マルチホップEsによるEU・中東・北米との交信チャンスは年に数回あるかどうか。コンディションが特別に恵まれれば、アフリカや中米まで届くこともあります。その数分間を皆で守ることが、結果として全員の楽しみを最大化します。それをバンド全体で活かしたい。 思いはそれだけです。

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### 具体的な設定

WSJT-X(標準版 / Improved版 共通)

「Tx even/1st」のチェックを外す。



JTDX

「15/45」を選択する。



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### 周波数の使い分け

50.313 MHz FT8標準周波数(国内・DX共用)
50.323 MHz 大陸間DX専用 — 国内・近隣諸国との交信には使用しない
50.303 MHz 国内通信用サブ周波数(標準周波数が混雑した場合)

50.323MHzは「最初からあった」周波数ではありません。数年かけて国際的に合意形成し、WSJT-X開発者のK1JT Joe氏をはじめEU各国の6m関連団体・著名DXerと連携して定着させたものです。大陸間の微弱な信号を守るために確保された専用スロットです。

標準周波数がDXをコールするJAで混雑してきたら、国内向けQSOは50.303MHzへ移動することで、お互いのチャンスを守ることができます。 またFT8が混雑してきた時、ぜひ 50.318MHzのFT4を覗いてみてください。そこそこ局がいて結構スムースにQSOができます。

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### 例外と現実——柔軟性も大切

「JAはCQは2nd/奇数秒」は原則であり、絶対ルールではありません実際の伝搬は複雑で、例外が発生することがあります。

米国内でも東海岸と西海岸で送信タイミングが分かれて運用されています。そこへ突然JAやAsiaとのパスがオープンした場合、それまでの流れのまま、Asia側が偶数になることがあります。

さらに複雑な状況もあります。米国とEUが同時にオープンしている場合、EUは常に偶数(1st)で送信しています。この場合、米国は奇数(2nd)を使う。そこへ同時に米国からAsiaへのパスがオープンすると、Asiaも偶数になる——EUと同じタイミングです。

こういう状況で原則を頑なに守ろうとすると、かえって混乱します。その時はもうどうしようもない。 流れに乗って臨機応変に対応するしかありません。

大切なのは「原則を知った上で、状況を読む」ことです。原則を知らずに偶数で出し続けることと、状況を判断した上で偶数を選ぶことは、まったく意味が違います。

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### まとめ

- CQは原則 2nd / ODD(奇数秒)/ 15:45 で出す
- 50.323MHz は大陸間DX専用、国内QSOには使わない
- 50.313MHzが混雑したら国内QSOは 50.303MHz へ

一人ひとりの小さな協力が、超遠距離DXとのQSOを日本全体で最大化します。今シーズンも皆さんが素晴らしいDXと繋がれることを願っています。

追記 もちろん奇数でCQを出している局をコールする時に自分が偶数側になるのは言うまでもありません。CQを出す時にご注意くださいというお話でした

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